私が目指すもの
鳥を通して日本を表現する
私は日本の野鳥を40年近く撮影し続けています。"日本の野鳥"と言うと目新しくない陳腐なテーマと思われがちです。確かに日本に暮らす鳥好きの人なら誰にでも共通する被写体だろうと思います。
しかし、私が撮影や執筆活動を通して見てきたものは鳥と共にある日本の姿でした。日本人の価値観や歴史や文化でした。私が仕事を通して学んできたこうした先人たちの姿を、鳥の魅力を感じてもらうために広く伝えたい 。撮影歴20年を過ぎた頃から、そんな自分の活動の方向性が、徐々に形作られてきました。理屈で考えたわけではなく、まるで見えない力に導かれるかのように、自分の目指すものが、鳥たちとのかかわりの中で培われ、自然に芽生えて育ってきたような感覚です。
もちろん、私の活動の中心は野鳥撮影です。野鳥の魅力を一人でも多くの人に伝えるために鳥を撮っています。その鳥たちの何が魅力なのか、文章と共に写真で伝えたいと思って日々取り組むうち、鳥そのものもさることながら、周囲の自然や人との関わりがあってこそ鳥の魅力が引き立つことに気付いたのです。今では野鳥を通して日本の姿を伝えることこそが私の使命であり、ライフワークだと考えて活動するようになりました。
鳥を通して日本を表現する。これが、私が生涯をかけて追及しているテーマです。